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経鼻インフルエンザワクチン:フルミスト®は普及していくのか

久々の更新で申し訳ありません。

特定健診の受診期間もあと1か月。個人的にはやはり何らかの形で自身の健康の記録を残しておくことが重要だと考えているので、特に他に予定がない方はうけていただくと良いかな、と思います。いつも言っていますが、「検査とは自身の健康・習慣の軌道修正の場」ですからぜひ活用していただきたいと思います。

そして、今日はこの10月に発売したばかりのインフルエンザ点鼻ワクチン:フルミスト®の話を。今までは海外メーカーの製剤しかなかったのですが第一三共さんが今年ついに発売しました。

以下特徴をまとめます。

・メリット

① なんといっても注射の痛みがないのでワクチン接種がスムーズ。

→注射の苦手な小児の親にとっては朗報でしょう。

② 1回接種で効果が1年間持続する(といわれている)。

→昨年の様な冬以外の時期の流行にも備えられる。

③ 経鼻生ワクチンなので、注射による不活化ワクチンに比べて、発症予防にも期待できる。

→「ワクチンうったのに感染した」という残念な事象が減っていくかもしれません。

・デメリット

① 生ワクチンなので、接種直後のインフルエンザのような風邪症状が起きるリスクあり

30-40%の患者さんに鼻水、咳など感冒症状が出現するというデータがあります。正直言って、ワクチン接種によって体調をくずすという一番避けたいパターンですね。

② 子供がいったん点鼻ワクチンの簡便さを知ってしまうと、次の年からなかなか注射をうけたがらなくなるおそれあり。

③ 注射と比べて、補助が出ないので高価。当院は本数に限りがありますが6000円(税込み)です。

→今年が初回なので、今後経鼻ワクチンが主流になっていくのか、来年以降経鼻ワクチンにも補助が出るようになるのか、まだ不確実なことが多いと言えます。

・注意点が意外と多い

① 重度の気管支喘息患者さんは「接種要注意」とされている。

→よほどの事情がない限り、接種しないほうが良いでしょう。喘息以外にも基本的にいわゆる「治療中の病気」を持っている患者さんは主治医に相談する必要があります。

② 卵、ゼラチンアレルギーは接種不可。

以下、接種できない、もしくは主治医に要相談の例を載せます。

・妊娠中あるいは妊娠の可能性がある女性。

・アスピリン内服中の方。

5歳未満で喘息の治療を行っている人、または、1年以内に喘息の発作があった人。

・心疾患、肺疾患、肝疾患、糖尿病などの代謝性疾患、血液疾患、神経系疾患、免疫機能低下などの慢性疾患を持っている人。

・医療従事者で、患者さんと日常的に多く接している場合。

・同居するご家族に免疫抑制状態(例:抗がん剤治療中)の方がいる場合。

→今回のワクチンは、適応年齢が2-18歳なのであてはまる方は多くないかもしれませんがご確認ください。

 

当院に通院されている小児で、インフルエンザワクチンを接種するのに、毎年30分くらいかかってしまう子がいます。そもそも、そこまでして接種が必要なのかどうかはともかく、問題なのは病院に来ること自体が嫌になってしまう可能性があることです。体調が悪くても、病院に行きたくないから周囲に言わないで我慢してしまう、家族としては最も避けたいパターンです。

ぜひ、今回の経鼻ワクチンが選択肢の一つとして確立されていくことを願います。